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オーストラリアでは、学びは教室の中だけで完結しません。遠足や日帰りの校外学習、そして数日間のキャンプが、授業で学んだことと実際の場所や体験を結びつけていきます。
サウスイースト・クイーンズランド(SEQ)でも、その機会は驚くほど豊富です。博物館を訪ねたり、カルチャーセンターで伝統的な暮らしに触れたり、野生動物を観察したり、国立公園で何泊もするキャンプに出かけたりします。学年が上がるにつれて、内容はよりチャレンジングで、子どもたちの自立を促すものへと変わっていきます。
オーストラリアで学ぶことの魅力については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
オーストラリアで学ぶ、5つのメリット
オーストラリアの学校が取り入れている校外学習
オーストラリアの学校では、次のような幅広い分野で遠足・日帰りの校外学習・キャンプが行われています。
- 歴史と文化:博物館、美術館、カルチャーセンター、史跡、州議会議事堂
- 科学・野生動物・環境:サイエンスセンター、動物保護区(サンクチュアリ)、牧場、ビーチ、湿地、環境教育センター
- アウトドアでの学び:熱帯雨林や山、国立公園でのブッシュウォーキングと自然体験
- キャンプ:キャビンやテントでの宿泊、食事を共にする時間、アウトドア・クッキング、グループでの課題への挑戦
- アドベンチャー活動:カヌー、カヤック、ラフティング、アブセイリング(懸垂下降)、ロッククライミング、ハイロープ(高所に張ったロープを渡るアスレチック)、オリエンテーリング
- 異文化・国際交流:語学交流、ホームステイ、海外への学校研修
どこまで実施するかは学校によって差があり、ごく一部にとどめる学校もあれば、ほとんどすべてを取り入れている学校もあります。それでも共通しているのは、「学びは教室の外にも広がっている」という考え方が、オーストラリアで広く共有されているということです。
教室の外に出ることで、子どもに育つもの
子どもの頃にこうした体験を重ねると、歴史や科学、生き物や環境への興味が自然と芽生えます。仲間と協力する力、課題を解決する力、やりきる粘り強さ、そして好奇心と自立心も育っていきます。とくに、不安を感じる場面を自分の力で乗り越えた経験は、その後の大きな支えになります。
こうした効果は長年の研究で裏づけられており、近年も次のような報告が発表されています。
- アウトドアでのチャレンジングな体験が、思春期の子どもの社会性と情緒面の健やかさにどう関わるかを分析した研究(Down ほか)
- 学校の外での科学体験が、子どもの理科や数学(STEM)への興味と姿勢にどう影響するかをまとめたメタ分析(Xia ほか)
- 自然の中での少し挑戦的な遊びや冒険型教育と、子どもや若者の心身の健やかさとの関係を整理した研究(Gray ほか)
日帰りで訪ねる、身近で学びの多い校外学習
低学年のうちは、授業の内容と結びついた日帰りの校外学習が中心です。たとえば、クイーンズランド博物館(Queensland Museum Kurilpa)では、科学や歴史、自然をダイナミックに体験できます。ブリスベン博物館(Museum of Brisbane)では、この街をつくってきた人々や場所、物語をたどることができます。
芸術や文化をテーマにした校外学習では、美術館や劇場、図書館を訪ねます。劇場では、実際の舞台やミュージカルを鑑賞することもあります。野生動物や環境をテーマにした行き先は、日系企業が運営するローン・パイン・コアラ・サンクチュアリ、湿地、牧場、自然保護区、ビーチなど、実に多彩です。
その他にも、クイーンズランド海事博物館、クイーンズランド警察博物館、マッカーサー博物館といった選択肢があります。政治や法律、公民を学ぶクラスでは、クイーンズランド州議会議事堂を見学することもあります。ガイド付きのプログラムや、役割を演じながら進む体験を通して、民主主義や立法の仕組みを実感できる内容です。高校生になると、クイーンズランド州最高裁判所(Supreme Court)で実際の刑事裁判を傍聴し、司法の現場を目にする機会もあります。
歴史をたどるクイーンズランドの校外学習
歴史系の博物館や史跡は、昔の人々がどのように暮らしていたのかを想像する助けになります。
SEQでは、カブルチャー歴史村(Caboolture Historical Village)とビーンレイ歴史村(Beenleigh Historical Village)がその代表例です。当時の住居や教室、商店、機械、日用品を見て回ることができます。施設やプログラムによっては、昔ながらの洗濯や印刷、鍛冶屋の仕事の実演、ふるいを使った宝石探し、歴史の再現劇などが体験できます。パンやダンパー(オーストラリアの伝統的な焼きパン)、石けんといった食べ物や日用品が、どのように作られていたのかを学ぶこともあります。
もうひとつ印象に残る歴史の校外学習ができるのが、モートン湾に浮かぶセント・ヘレナ島国立公園です。子どもたちは船で島へ渡り、1867年から1932年まで実際に使われていた植民地時代の流刑地について学びます。島には、囚人を収容した施設や作業場、パン焼き場の遺構が今も残されています。
こうした体験からは、暮らしや交通、通信、仕事のかたちが、イギリスの入植が始まった18世紀末から現在までにどう変わってきたのかが見えてきます。同時に、植民地化とその後のオーストラリアがたどってきた歴史の明暗にも、深く目を向ける機会になります。
自然と野生動物に触れる、アウトドアでの学び
SEQには、ビーチや島、熱帯雨林、山、川、湿地といった自然が揃っています。そのため宿泊をともなわない日帰りでも、アウトドアで学べる場所の選択肢はほぼ無限にあります。
小学生なら、潮だまり(ロックプール)やマングローブの林、川辺の生き物を観察したり、動物保護区を訪ねたり、短いブッシュウォーキングに挑戦したりします。高学年から上の学年になると、地理や生物、環境科学の授業と結びつけて、生態系や自然保護をテーマにした野外調査を行います。
日帰りの行程に、カヤックやオリエンテーリング、サイクリング、指導者のもとでのクライミング入門が組み込まれることもあります。
ご家族でのお出かけ先を探している方は、ブリスベンとゴールドコーストのおすすめファミリーアクティビティや、オーストラリアの野生動物と触れ合うの記事もぜひ参考にしてみてください。
オーストラリアのスクールキャンプはどんな内容?
スクールキャンプは、小学校の高学年から中学校にあたる学年で、特に大きな意味を持つようになります。日程は数日間が一般的で、学校によっては1週間まるごと使う場合もあります。
オーストラリアの学校キャンプは、おおむね次のような内容です。
- 宿泊先:キャビン、テント、または野外教育センター
- 場所:熱帯雨林、山、国立公園、湖畔、地方のエリア
- 活動:ハイキング、カヌー、ラフティング、アブセイリング、ロッククライミング、ハイロープ
- 日々の体験:みんなで囲む食事、屋外での調理、グループでの課題、家族と離れて過ごす時間
- 身につくもの:自立心、立ち直る力、チームワーク、リーダーシップ、自信
宿泊地にたどり着くまでに、何時間もハイキングやラフティングを続けることも珍しくありません。目的地を移動しながら進む行程もあれば、熱帯雨林や山の奥深く、湖や海の近く、さらには内陸の荒野でテントを設営する行程もあります。
学年が上がると、宿泊先はキャビンからテントやスワッグ(寝袋型の簡易テント)へと変わります。自分たちで火をおこし、焚き火を囲んで食事をともにします。アブセイリングやロッククライミング、地方の湖や国立公園でのカヌーを通して、自立心や粘り強さ、仲間と協力する力、野外で生き抜く技術、そして自信を身につけていきます。
キャンプ先として人気があるのは、シーニックリム、マウント・バーニー国立公園、ゴールドコーストとサンシャインコーストの内陸部(ヒンターランド)、そしてグラスハウス・マウンテンズです。学校によっては、さらに遠くの地方まで足を運び、アウトバックや原野での体験に挑む場合もあります。
ブリスベンから北西へ約720キロに位置するカナーボン渓谷(Carnarvon Gorge)は、砂岩の断崖や枝分かれした渓谷、野生動物、そしてアボリジナルの岩絵で知られています。こうした場所への行程は数日間の泊まりがけとなり、長いブッシュウォーキングをともないます。
キャンプで子どもたちが取り組むのは、ハイキング、カヌー、カヤック、ラフティング、いかだ作り、アブセイリング、ロッククライミング、ハイロープ、マウンテンバイク、地図を読んで進む方向を確かめる技術、そしてブッシュで役立つサバイバル技術です。たとえばヒルブルック・アングリカン・スクールの野外教育プログラムでは、7年生(日本の中学1年生にあたる学年)がマウント・バーニー国立公園周辺で3日間のキャンプを行います。その後の学年では、より長く、より自立度の高い野外体験へと段階的に進んでいきます。
多くの子どもにとって、学校キャンプは家族と離れて眠る最初の経験になります。テントを張る、外で料理をする(ときには自分の食事を自分で作る)、大きな荷物を背負って歩く、簡単ではない課題をクラスメイトと一緒にやりきる。その多くが、生まれて初めての経験です。
地元のキャンプから、海外への学校研修まで
実施数としては地元の校外学習やキャンプが圧倒的に多いのですが、学校によっては語学や文化、音楽、スポーツ、学術的な学びを目的とした海外研修や交流プログラムも用意されています。
ブリスベンのアイアンサイド州立小学校(Ironside State School)では、1981年に始まった日本語と日本文化の交流プログラムが続いています。2年に1度、5年生と6年生の希望者が2週間の日本研修に参加します。
子どもたちは中国地方と関西の3つの都市を訪ね、現地の家庭にホームステイしながら、文化施設を見学し、日本の学校に通い、伝統と現代が共存する暮らしを体験します。研修のない年には、日本の姉妹校の子どもたちをブリスベンで受け入れています。
クイーンズランド州の中学・高校では、さらに幅広い国際的な機会が用意されています。ブリスベン・ボーイズ・カレッジは、イギリス、カナダ、ブラジル、ヨーロッパ大陸への研修を行っており、スポーツや文化交流、音楽、さらには学術コンテストへの参加を組み合わせた内容です。ブリスベン州立高校では、フランス、ドイツ、イタリア、日本との語学交流に加えて、短期・長期の交換留学も選ぶことができます。
まとめ:教室の外に広がる学び
校外学習とキャンプは、オーストラリアの教育に欠かせない一部です。SEQでは、歴史や野生動物、熱帯雨林、川を実際に見て回ることも、クラスメイトと何泊もキャンプをすることもできます。
こうした体験は、教室で学んだことと目の前に広がる世界とを結びつけてくれます。そして子どもたちの中に、自立心と好奇心、自信を残していきます。
お子さまと一緒にこうした体験をしてみたい方は、【ブリスベン&ゴールドコースト】おすすめのファミリー向けアクティビティの記事もご覧ください。博物館や、野生動物と触れ合えるスポットを数多く紹介しています。
ご家族でのクイーンズランド滞在を長めに考えている方には、オーストラリアのSEQ(South East Queensland)が中長期滞在におすすめの理由とは?で、教育や暮らし、自然、子育てしやすい地域環境について詳しく解説しています。
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