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クイーンズランド州で、キンディー(幼稚園)に通う子どもに今日は何をしたのか聞くと、「遊んだよ」という答えが返ってくることがあります。その答えを聞いて、子どもが実際には何を学んでいるのだろうと気になる保護者の方もいるでしょう。オーストラリアの幼児教育では、学びの多くが、遊びや会話、実際に手を動かす活動を通して行われます。こうした活動の中で、子どもたちは問題を解決する力や自立心、自信、そして人と関わる力を身につけていきます。
たとえば、午前中のしばらくは文字を書いて過ごし、そのあと外に出て庭を探検する子どももいるでしょう。先生は、子どもが問題にどう取り組んでいるか、友だちとどんな話をしているか、どのくらい自分でできるようになったかに目を配っています。そして、その様子をもとに、次にどんな活動をするかを考えます。
日本とオーストラリアの幼児教育の共通点と違いについては、前回の「日本の幼稚園とオーストラリアのキンディー、意外な共通点と違い」の記事をご覧ください。
遊びを通して学ぶ
お店屋さんごっこをしている場面を思い浮かべてみてください。ある子は看板を作り、別の子は並べた商品を数え、ほかの子たちは誰がお客さんの相手をするかを話し合って決めています。先生は「同じ係をやりたい子が2人いたら、どうしたらいいかな?」と問いかけたり、買い物リストを作るための紙を持ってきたりします。このひとつの遊びの中に、数を数えること、文字を書くこと、友だちと協力することが、すべて含まれています。
オーストラリアには、0歳から5歳までの子どもの教育の指針として、国の「幼児期の学習枠組み(Early Years Learning Framework)」があります。遊びを通した学びは、この枠組みの中心に置かれています。クイーンズランド州では、認可を受けたキンディーのプログラムは、州のキンディー学習ガイドライン(QKLG)か、ほかの認定された指針に沿って行われます。キンダーガーテン(kindergarten)は、ふだんはキンディー(kindy)と呼ばれています。子どもたちは、小学校の最初の学年にあたるプレップ(Prep)の前の1年間、キンディーに通います。
先生は、子どもが何に興味を持っているかに注目し、その学びを広げるための問いかけや素材、活動を取り入れます。子どものアイデアから始まる活動もあれば、先生が計画する活動もあります。キンディーの毎日には、そのどちらにも取り組める余地がいつもあります。
自分で考え、問題を解決する力を育てる
積み木で作った橋が、何度も崩れてしまう場面を考えてみましょう。先生は子どもたちの代わりに橋を作り直すのではなく、「どうしたら、もっと丈夫になるかな?」と問いかけることがあります。この問いかけが、子どもたちが自分で問題を解決しようとするきっかけになります。子どもたちが絵の具を混ぜているときには、先生が「青と黄色を混ぜたら、何色になると思う?」と聞くこともあるでしょう。子どもたちは自分の考えを試し、どうなるかを確かめ、次はどうやってみるかを自分で決めていきます。
毎日のちょっとした習慣も、同じような学びの機会になります。使った道具を片づけること、自分のリュックを管理すること、クラスの友だちのことを覚えておくこと、やりたい活動を選ぶこと、困ったときに助けを求めることは、どれも練習を重ねて身につくものです。先生は決まりごとを示し、必要なときには手を貸します。そのうえで、子どもが自分でできることは、子ども自身に任せています。
小学校に上がると、子どもたちには、お弁当箱やノート、かばん、体育で使うものなど、自分の持ち物をもっと自分で管理することが求められます。教室での活動の時間もずっと長くなり、子どもたちはその間、集中し続けなければなりません。キンディーのうちに、自分で決めること、自分で問題を解決すること、自分の考えを言葉で説明することに慣れておくと、こうした変化にも対応しやすくなります。
先生は子どもの成長をどう見て、どう伝えるか
キンディーには、小学校のような成績やテストはほとんどありません。そのため、先生が子どもの成長をどうやって確かめているのか、不思議に思う保護者の方もいるでしょう。評価の多くは、子どもが遊んだり、話したり、友だちと一緒に何かに取り組んだりしている間に行われます。先生は子どもができることを観察し、その記録をもとに次の活動を計画します。友だちと協力できるようになった、助けを求めずに自分で直せた、言われなくてもおもちゃを片づけた、といった変化も、先生が見ている子どもの成長です。
先生は子どもに、「そのピースが合わなかったから、別のピースを試してみたんだね」のように、具体的な声かけをします。遊びの中で、子どもがほかの子を仲間に入れる方法を見つけたときには、そのことに気づいて言葉にすることもあります。こうした声かけを受けると、子どもは自分のどんな行動がよかったのかを知り、次も同じように試してみることができます。保護者にとっても、ただの「よくできたね」より、子どもの様子がずっとよくわかります。
保護者は、学びの記録について尋ねたり、子どもの成長について先生と話したりすることができます。クイーンズランド州のキンディーの先生は、1年の終わりが近づくと、「トランジション・ステートメント(Transition Statement)」を作ることが多くあります。トランジション・ステートメントは通知表に近いもので、一人ひとりの学びと発達の様子が書かれています。保護者はその写しを受け取り、次に通う学校と共有するかどうかを自分で決めることができます。
クイーンズランド州カリキュラム評価機構(QCAA)によると、トランジション・ステートメントは、保護者が子どもの学びや得意なこと、興味を理解する助けになります。進学先の学校にとっても、トランジション・ステートメントは、一人ひとりの学びや得意なこと、興味を理解したうえで、どの子も学校生活をよいかたちで始められるように計画し、準備するのに役立つとされています。
人に伝える力を育てる
子どもたちは、日々のちょっとした場面で、人前で話す練習を重ねています。自分の描いた絵について説明したり、聞いたお話をグループのみんなにもう一度話して聞かせたり、何かをどうやって作ったのかを話したりします。友だちの話を聞くこと、順番を待つこと、質問に答えることも、話すことと同じくらい大切です。こうした経験は、英語を学び始めたばかりの子どもや、英語を第二言語として使う子どもにとって、特に意味があります。子どもたちは、人の話を聞く力や、まわりの人の表情やしぐさから気持ちを読み取る力、そして相手に共感する力を身につけていきます。
すぐに自信を持って話せる子もいれば、もう少し時間が必要な子もいます。クイーンズランド州のキンディーの指針でも、子どもは英語だけでなく、家庭の言葉や身振り、そのほかのさまざまな表現を使って、まわりとコミュニケーションをとっていると認められています。
日本語を話すご家庭なら、お子さまは家で日本語を使い続けながら、キンディーで無理なく英語を学ぶことができます。家庭の日本語とキンディーの英語の両方に触れながら育つことは、お子さまにとって大きな強みになります。2つの言葉を使って育つ子どもは、文化の違う人たちの気持ちや考え方にも気づきやすくなり、表情や身振りなど、言葉以外でのコミュニケーションも得意になっていきます。
子どもが大きくなると、幼いころのこうした会話の経験は、小学校や中学・高校での話し合い、グループ課題、発表の場面で役に立ちます。
外遊びを通して学ぶ
外では、ぬれた砂に溝を掘っている子が、水がどこへ流れるかを試し、友だちに手伝ってもらって流れの向きを変えようとするかもしれません。子どもたちが、自分たちで作った紙の船を流して競争する遊びを考え出すこともあります。庭では、子どもたちが葉っぱを比べたり、虫をじっくり観察したり、鳥を追いかけたりします。先生は、そこから生まれる子どもたちの疑問を生かして、観察する力や問題を解決する力を伸ばしていきます。
よじ登ったり、バランスをとったり、遊具や道具を動かしたりする遊びは、子どもが体をうまく使う力を育てる機会になります。こうした遊びは、大人が適切に見守る中で、子どもが自分にどこまでできるかを判断する経験にもなります。クイーンズランド州の保育施設には、強い日差しから子どもを守るための方針もあります。帽子の着用や日陰の確保を徹底し、気温が高すぎる日は室内で過ごすなど、外遊びをより安全にするための対策がとられています。
家庭で保護者ができること
保護者の方は、教室のような授業をしなくても、家庭で同じような習慣を育てることができます。たとえば、料理をお子さまに手伝ってもらいましょう。お子さまは、材料を量ったり、味見をしたり、食卓の準備を手伝ったりできます。遊びのルールを説明してもらったり、園や公園で見つけた新しいことやおもしろかったことを話してもらったりするのもよいでしょう。説明に時間がかかっても、お子さまが答えるまで待ってあげてください。
お子さまが今どんなことに興味を持ち、どんなことに取り組んでいるのか、先生に聞いてみるのもおすすめです。そうすれば、次にお子さまが「今日は外で遊んだだけ」と言ったときも、遊びの中でどんな学びがあったのかを想像しやすくなります。家庭でも、お子さまが自分から話したり考えたりしたくなるような、具体的な質問をしやすくなるでしょう。
お子さまがクイーンズランド州の幼児教育にどのようになじんでいけるのか、もっと詳しく知りたい方もいらっしゃると思います。お子さまに合った園やアクティビティ選びについて、Hello Kidsにご相談いただけます。
参考文献
- オーストラリア子ども教育・保育質機構(ACECQA)『認可された学習枠組み』
- クイーンズランド州政府(Business Queensland)『認可キンディー・プログラムの実施要件』
- クイーンズランド州カリキュラム評価機構(QCAA)『遊びを通した学びを促す』
- QCAA『意図的な指導の方法を用いる』
- QCAA『子どもの学びを評価する』
- QCAA『学びと発達の領域:コミュニケーション』
- QCAA『移行と学びの連続性を支える』
- クイーンズランド州保健局(Queensland Health)『学校や幼児教育・保育施設での紫外線対策』
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(Hello Kids事務局)

