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日本もオーストラリアも、コーヒーがよく飲まれている国です。ただ、その飲み方には驚くほどの違いがあります。
日本では、コーヒーはほとんどどこでも手に入ります。ドトール、スターバックス、タリーズ、エクセルシオールといった大手のカフェチェーンが各地に広がり、コンビニや自動販売機では、淹れたてのコーヒーやペットボトル・缶のコーヒーを一日じゅう買うことができます。なかでも缶コーヒーは、日本のコーヒー文化と深く結びついています。世界で初めてミルク入りの缶コーヒーが発売されたのは、1969年の日本でした(UCC)。
オーストラリアのコーヒー文化は、これとは別の道をたどってきました。オーストラリア各地で、コーヒーの中心にあるのは大きなチェーン店ではなく、地元のカフェです。個人経営や家族経営のお店が多く、そのためスターバックスのような大手チェーンにとって、この国で店舗を広げるのは簡単なことではありませんでした。
地元のカフェにこだわるオーストラリア
オーストラリアのカフェ文化は、ヨーロッパからの移民に大きな影響を受けています。なかでも、イタリア式のエスプレッソとエスプレッソマシンが持ち込まれたことが、大きな転機になりました。やがて、豆や焙煎、ミルク、そして淹れ方にまでこだわる人が増えていきます。
多くのオーストラリア人にとって、コーヒーを買うというのは、出勤前に地元のカフェへ立ち寄ること、週末に誰かとカフェで待ち合わせること、そして同じ店に週に何度も通うことを意味します。
国際的なチェーン店が、オーストラリア市場の一部にとどまっているのは、こうした背景があるからです。ひとつの地区にいくつもの個人経営のカフェがあり、常連客を得ようとしのぎを削っています。豆は、オーストラリア国内のロースター(焙煎業者)から仕入れていることも少なくありません。
たとえばブリスベンのメルロ・コーヒー(Merlo Coffee)は、地元の小さなコーヒー事業として始まり、今では数十店舗のカフェを構えながら、家庭やオフィスのマシンで使うスペシャルティコーヒーの豆も販売しています。オーストラリアのロースターにはこの形をとる会社が多く、カフェが豆の販売店を兼ねています。
コーヒー文化は、家の中にも広がっています。お気に入りのロースターから豆を買い、エスプレッソマシン(オーストラリアではデロンギなどのブランドがよく知られています)やグラインダー(豆を挽く機械)、エアロプレス、フレンチプレスなどを使って、自宅で淹れる人も多くいます。
オーストラリアでよく注文されるコーヒー
- カフェラテ(Latte)
- フラットホワイト(Flat White)
- カプチーノ(Cappuccino)
- カフェモカ(Mocha)
- ロングブラック(Long Black)
それぞれのコーヒーは、何が違うのか
オーストラリアでよくある誤解のひとつが、カフェラテとフラットホワイトを同じものだと思ってしまうことです。
カフェラテは、エスプレッソにスチームしたミルクを合わせ、その上にきめ細かい泡を薄くのせたものです。ミルクの割合が多く、味わいはやわらかめです。
フラットホワイトも、エスプレッソとスチームミルクを合わせたものですが、本来は泡が少なく、コーヒーそのものの味が前に出るように作られます。ただ、今のオーストラリアのカフェでは、店やカップの大きさによって、ラテとフラットホワイトの違いがごくわずかなこともあります。
カプチーノは、ミルクの泡がはっきりと多いのが特徴で、オーストラリアでは仕上げに、上からチョコレートパウダーをかけるのが一般的です。
カフェモカは、エスプレッソとミルクにチョコレートを加えたもので、甘みのある味わいになります。
ロングブラックもよく飲まれています。アメリカーノとほとんど同じですが、ひとつだけ違いがあります。ロングブラックは、お湯にエスプレッソを注いで作ります。エスプレッソにお湯を注ぐアメリカーノとは、順番が逆なのです。ずいぶん細かい違いに思えますが、ここはしっかり区別されています。
「コーヒーをください」だけで注文することは、まずありません
文化の違いがいちばんはっきり表れるのは、実際に注文する場面かもしれません。
たとえば、こんな注文が当たり前のように飛び交います。
「ラージのフラットホワイト、ショット追加で」
あるいは「スモールのスキニー(低脂肪乳)カプチーノ」「ソイラテ」「デカフェのフラットホワイト」「アーモンドミルクのラテ、バニラシロップ入り」といった具合です。
オーストラリアのカフェでは、通常の牛乳のほかに、乳糖カット牛乳、オーツミルク、豆乳、アーモンドミルクを用意しているのが一般的です。エスプレッソのショット数を変える、カフェインを抜く、シロップを足す、カップの大きさを選ぶといった注文もでき、たいていのカフェが応じてくれます。
常連になると、自分の注文が決まっていて、めったに変えないという人が多くなります。同じカフェに通い続けていると、いつしかバリスタから、オーストラリアのカフェらしいひとことが返ってくるかもしれません。「いつもの?」
バリスタとの関係も大切です。あの人が淹れるコーヒーは自分の好みに合っている。そんな理由で、その店に強い愛着を持つ人もいます。別のカフェの前を通り過ぎて、2分よけいに歩くことになってもです。
利便性を大切にしてきた、日本のコーヒー文化
とはいえ、日本のコーヒー文化が弱いということではありません。別の方向に発展してきた、ということです。
日本は、世界でも有数のコーヒー消費国です。全日本コーヒー協会が2024年に行った調査では、回答者の74.3%が習慣的にコーヒーを飲んでいると答えています。
日本には、長い歴史を持つ喫茶店の文化もあります。コーヒーの淹れ方を深く追求する店も多く、ハンドドリップやサイフォンといった伝統的な方法は、現代のスペシャルティコーヒーの店とともに、今も受け継がれています。
同時に、日本ならではの特徴として際立つのが、コーヒーの売られ方の多彩さです。インスタントコーヒーは家庭での定番として長く親しまれてきましたし、缶コーヒーは日本を象徴する商品になりました。今ではコンビニに、缶やペットボトル、冷蔵ケースのチルドコーヒーに加えて、手頃な値段で淹れたてが飲めるコーヒーマシンも並んでいます。
オーストラリアにも、インスタントコーヒーはあります。ただ、オーストラリアの人が熱を込めて「コーヒー」を語るとき、その多くはエスプレッソのことです。豆のこと、カフェのこと、バリスタのこと、そして自分のいつもの一杯がどう作られるか、ということです。
日本は、喫茶店から缶コーヒー、コンビニのコーヒーまで、コーヒーの楽しみ方を驚くほど幅広く育ててきました。一方で今のオーストラリアのコーヒーは、エスプレッソを出すカフェと、バリスタと、一人ひとりに合わせた注文を中心に形づくられています。その背景には、ヨーロッパからの移民が積み重ねてきた歴史があります。
ご家族でのオーストラリア滞在、クイーンズランド滞在をお考えの方は、オーストラリアのSEQ(South East Queensland)が中長期滞在におすすめの理由とは?もあわせてご覧ください。教育や暮らし、自然、子育てしやすい地域環境について詳しく解説しています。
参考:SBS「Australia’s coffee culture explained」(2026年4月9日更新)
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