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オーストラリアは世界でも有数の多文化社会です。
先住民族の歴史から、長い年月をかけた移民の波により、日常生活の中に多様性が自然に息づいています。現在ではオーストラリア人の3人に1人以上が海外生まれであり、文化・食・コミュニティがその国のアイデンティティを形づくっています。
日本からオーストラリアへの留学や移住、就職などを検討する際、この「多文化社会」の成り立ちを理解しておくことは非常に重要です。
多様なルーツを持つ国
2024年6月時点で、オーストラリアの人口の31.5%(約860万人)が海外生まれです。これは2021年の国勢調査で記録された27.6%からも着実に増えています。さらに、約半数のオーストラリア人は、両親のどちらかが海外生まれであることが明らかになっています。
加えて、出身国も実にさまざまです。イギリスをはじめ中国、ニュージーランド、インド、ベトナム、フィリピンなどがその多くを占めています。かつてはヨーロッパからの移民が中心でしたが、今ではアジアからの移民や留学生が大きな役割を担い、卒業後に永住権を取得して暮らすケースも増えています。
一方、日本の外国人比率は2024年時点で約3%(約370万人)。日本の歴史の中で最も高い数値とはいえ、オーストラリアの30%超と比べると、まだ大きな違いがあります。
地域ごとに異なる多様性
オーストラリア全体としてみればこのように多文化社会である事は一目瞭然ですが、実はその分布は均一ではありません。特にブリスベン、ゴールドコースト、シドニー、メルボルン、パースなど大都市を中心に多文化コミュニティが育まれ、学校や文化施設、ネットワークが整っています。
例えば、ブリスベン南部にあるSunnybankというエリアは、中国系住民が非常に多く暮らすエリアとして有名です。また、日本人コミュニティもゴールドコーストやブリスベン市内、メルボルン、シドニーに多く、日本語補習校や日本食スーパー、文化イベントなどを通じて、現地でも安心して暮らせる環境が揃っています。
食文化に現れる多文化社会
多文化社会を最も身近に感じられるのは、やはり「食」ではないでしょうか。オーストラリアの都市部には、ヨーロッパ料理、ベトナムのベーカリー、インドカレー、中東のケバブ、中華料理、韓国BBQ、そしてモダンな日本食まで、世界中の料理が並びます。
街中のスーパーでも、味噌やみりんにしょうゆ、キムチ、枝豆、しいたけ、柿、ナン、トルティーヤ、ハラール認証のお肉など、国際色豊かな食材が手に入ります。
お寿司(サーモンやアボカドを使った“オーストラリア風”寿司)やカツ丼、ラーメン、餃子なども人気で、日本のご家庭にとっても馴染みやすい食文化が広がっています。
教育と言語
多様な文化の浸透は、教育シーンにも表れています。2021年の国勢調査によると、550万人以上のオーストラリア人が家庭で英語以外の言語を話しています。中国語やアラビア語、ベトナム語、韓国語などが代表的です。
日本人の子どもたちは、さまざまなバックグラウンドを持つクラスメートと共に学び、自然と国際感覚を身につけることができるのです。多文化を祝う日や国際フードイベントなども学校で開催されることも多く、子どもたちが自分のルーツを紹介したり、他文化に触れる機会が豊富にあります。また、ブリスベンのWellers Hill State Schoolのように、日本語イマージョンプログラムを提供している学校もあります。
なぜ多文化社会が大切なのか
このように、オーストラリアの多文化社会が日本から訪れるファミリーにもたらすベネフィットはさまざまです。
世界中の料理や文化イベントに気軽に触れられる
子どもたちが多言語・多文化を学びながら成長できる
複数の言語を話すことが歓迎される環境である
ビザの取得は大切な第一歩ですが、「どんな文化の中で暮らすのか」という点を理解することも同じく重要です。それは、住む場所やコミュニティ選び、ライフスタイルにも大きな影響を与えることでしょう。
まとめ
多文化主義は現代オーストラリアの大きな特徴のひとつです。食、教育、仕事、地域コミュニティなどのあらゆる場面で、多様性は政府や地域の取り組みによって支えられ、日常の一部になっています。
日本から訪れるファミリーにとっては、日本人コミュニティを通じて安心感を得ながら、新しい文化を発見していく喜びを同時に味わえる場所、それがオーストラリアです。
学び、働き、暮らす——どんな目的であれ、オーストラリアの多文化社会を受け入れることは、人生をより豊かにする大切な一歩になるでしょう。
(Hello Kids 事務局)